STAFF COLUMNスタッフコラム
ウイスキーの樽熟成~その1~
ウイスキーと呼ぶために必要な定義は色々とありますがその中に、「樽熟成」という工程があります。
ウイスキーは、なぜ樽で熟成させるようになり、樽熟成をすることでどのような効果が得られるのか。
今回はこのあたりについてお話していきたいと思います。
もともと、13世紀前後のアイルランドやスコットランドではウイスキーを樽熟成させずに飲んでいましたが、
18世紀頃にウイスキーを樽で熟成させるようになったそうです。
それは1700年頃にスコットランドがイングランドに迎合され、イングランドの税収確保のため、ウイスキー製造に
高い税金をかけるようになりました。
ウイスキー製造が国にばれると高い税金を徴収されるため、造られたウイスキーを山奥のなかで樽に隠しながら、
こっそりと行うようになっていったのだそう。
密造酒ですね。
その後、樽に隠し続けたウィスキーが熟成を始め、美しい琥珀色に変化して深みのある味わいに仕上がっていることに気づいたため、樽熟成という貯蔵工程がとられるようになったといわれています。
樽熟成のウイスキーとは、もともとは「密造酒」であり、「偶然の産物」だったようです。
ウイスキーを樽熟成させる前は、無色透明でアルコール度数が65~70%ほどの荒く若い味わいのニューポットと
よばれるものです。
ニューポットを樽に詰めて長期間熟成させると、樽の成分が溶け出して、ウイスキーにまろやかな味わいや
豊かな香りなどを生み出します。
また、ウイスキーが琥珀色に色づくのも樽熟成による効果です。
「ウイスキーは樽熟成させることでウイスキーと呼べるものになる」といっても過言ではありません。
国によっては、樽で熟成させたものでなければウイスキーと名乗れないという酒税法もあります。
たとえばスコットランドでは、最低3年以上は樽熟成させることが義務付けられていたり、アメリカでは
2年以上樽熟成させていなければ「ストレート・バーボン」を名乗ることができない決まりがあったりなど、
国によって様々に定められています。
日本でも、2021年の4月よりジャパニーズウイスキーと名乗るには、日本国内で3年以上の熟成が必要と定義化
されました。
使う樽の種類や熟成期間によって、濃い茶色からゴールドに近いものまでさまざまな色合いになるのも興味深い点
といえるでしょう。
樽の種類や味わい、色合いの違いなどについては次回のコラムでご紹介したいと思います。